鉄欠乏性貧血における鉄サプリメントの効果的な飲み方と注意点

更新日:9月21日





今回は<鉄欠乏性貧血>について書いていこうと思います。


鉄欠乏性貧血とは、鉄分不足が原因となって起こる貧血のことを指します。


鉄不足に至る主な原因としてあげられるのが、


  • 鉄分の摂取不足

  • 鉄分の消化吸収不良

  • 慢性的な出血


鉄分の消化不良は、セリアック病、ピロリ菌感染、胃炎、炎症性腸疾患などの疾患、または遺伝的な要因が原因となっている場合があります。慢性的な出血は、女性の場合、経血量の多い過多月経、頻発月経、また内出血なども含まれます。


貧血には治療が必要な重病が含まれていることもあるため、貧血の症状が長く続く場合には自己判断せず、病院で検査することが大切です。血液検査により鉄欠乏であると判断されると、まずは鉄剤を処方されることになると思います。


しかし、鉄剤や鉄サプリメントは他の栄養素に比べ消化器系における吸収率が比較的低いため、飲み続けても貧血が改善されないという方や、胃痛や吐き気、下痢などの副作用を経験する方が一定数いらっしゃいます。


処方された鉄剤を飲んでいるけど貧血の症状や血液検査での鉄不足が改善されないという方にまず知っていただきたいのが、鉄分の吸収を阻害する物資と、促進してくれる物質です。


鉄分の吸収を阻害する物質は、

  • フィチン酸(豆類、ナッツ類、玄米、穀物類など)

  • シュウ酸(ほうれん草など)

  • タンニン(お茶、紅茶、コーヒー、ワイン、シリアルなど)

  • カルシウム

  • 食物繊維


鉄分の吸収を促進してくれるのは、ビタミンC(アスコルビン酸)。ビタミンCと一緒に配合されている鉄サプリメントが多いのは、鉄分の吸収を助けるためです。


また、近年の研究で分かったのは、鉄剤や鉄サプリメントは、毎日よりも一日置きなど断続的に服用した方が吸収率が上がり、消化器系における副作用も軽減されるということです。


鉄欠乏性貧血であると診断された女性において、100mgまたは200mgの Ferrous sulfate(硫酸鉄)を1回の服用量とし、6日間(Day 1 から Day 6)の実験を行いました。Day 1 は服用なし、Day 2 とDay 3 は2日連続で服用、Day 4 は服用なし、Day 5 に服用したところ、連日で服用した Day 3 に比べて、前日の服用がなかった Day 5 の方が鉄分の吸収率が上がり、さらに、Day 3 よりも Day 5 の方がヘプシジンの分泌量が低いという結果になりました。


ヘプシジンは肝臓から分泌されるホルモンで、体内の鉄量を調節する役割を担います。鉄剤や鉄サプリメントによって急激に鉄分を摂取すると、ヘプシジンの分泌量が増加し、鉄分の吸収が抑えられます。これはホメオスタシスを保つための正常な反応ですが、ヘプシジンによって鉄分の吸収が抑えられると、摂取した鉄分が上手く使われず、他の臓器や組織に負担をかける可能性があります。「鉄剤を飲んでも鉄欠乏性貧血が改善されない方」や「消化器系への副作用でお悩みの方」は、断続的な鉄剤摂取を検討されてみてもいいかもしれません。


上記の実験でも登場した硫酸鉄は、生体利用効率が比較的高い水溶性であることと、安価であることなどから最もよく用いられる鉄ですが、アミノ酸や脂質やビタミン類など他の栄養素の酸化を促進するなど、食べ物に含まれる栄養を阻害する可能性が示唆されています。


基本的に、鉄剤や鉄サプリメントは、血液検査にて鉄欠乏が明らかになった方にのみ勧められています。さらに、長期の服用には注意が必要であり、症状が改善した後の服用は止めた方がいいでしょう。めまいや立ちくらみなどの貧血のような症状があっても、血液検査をしてみたら鉄量は基準値を満たしている場合も多かったりします。(逆に、無症状の鉄欠乏の方も多くいらっしゃいます。)体内の鉄量が足りているにも関わらず、自己処方で鉄サプリメントを摂ることで、鉄過剰の症状を引き起こす危険があります。


鉄過剰による健康被害の一因に、体内の組織や臓器へのダメージがあげられます。鉄過剰の状態は、活性酸素の産生を促進します。貧血の主症状として疲れやすさやだるさがあげられますが、ミトコンドリアが酸化ストレスにさらされることでエネルギー産生の効率が低下し、それにより疲労感が引き起こされることがあります。特に肝臓は鉄過剰によるダメージを受けやすく、慢性的な鉄過剰は肝臓癌のリスクを上げるとされています。


「鉄分不足かな?」と感じたら、サプリメントを飲む前に、まずは食生活を見直してみることがおすすめです。例えば、動物性食品由来の「ヘム鉄」は、植物性食品由来の「非ヘム鉄」に比べて吸収率が良いため、女性は生理中に赤身肉を食べることを意識したり、日本人は特に緑茶の飲み過ぎに注意するなど、気がついたところから始めてみてくださいね。


鉄欠乏性貧血に有効な食事については、また別の記事に詳しく書きます。




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